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今回紹介する書籍はこちら。
『火花』又吉直樹
第153回芥川受賞作品である本作は、芸人である又吉直樹氏が執筆する初の純文学作品です。
2017年には映画化も決定した話題の作品。
NHKでドラマ放送スタート!(出演・林遣都、波岡一喜、門脇麦)
第一五三回芥川賞を受賞し、二〇一五年の話題をさらった「火花」が文庫化。
受賞記念エッセイ「芥川龍之介への手紙」を併録。売れない芸人の徳永は、、天才肌の先輩芸人・神谷と出会い、師と仰ぐ。
神谷の伝記を書くことを乞われ、共に過ごす時間が増えるが、やがて二人は別の道を歩むことになる。
笑いとは何か、人間とは何かを描ききったデビュー小説。
第一五三回芥川賞を受賞し、累計発行部数283万部を誇る傑作が待望の文庫化!引用元:amazon
それでは早速、書評していきます。
『火花』又吉直樹|主な登場人物
まずは、主な登場人物紹介です。
- 徳永(とくなが)・・・本作の主人公。お笑いコンビ・スパークスのメンバー。熱海の花火大会で、先輩芸人の神谷と出会い意気投合。弟子入りを志願する。
- 神谷(かみや)・・・お笑いコンビ・アホンダラのメンバー。天才肌で破天荒な発想をよくする。人間味のあふれる人物だが、人付き合いが悪く徳永以外の芸人の間では悪名高い。
- 山下(やました)・・・徳永の相方。徳永とは中学時代からの友人。
- 大林(おおばやし)・・・神谷の相方。隣町に住んでいた徳永が知っていたほど、地元では有名な不良だった。誤解されがちだが情け深い男でもある。
- 真樹(まき)・・・神谷と同棲している女性。神谷は恋人関係ではないと否定している。
『火花』又吉直樹|あらすじ・内容
『火花』は売れない芸人である徳永が、熱海の花火大会で先輩芸人・神谷と衝撃的な出会いをして、弟子入りすることから始まります。
弟子入りは徳永が「神谷の伝記を書く」という条件を受け入れることで叶いました。
天才肌で破天荒な行動が目立ちますが、人間味にあふれる神谷に徳永はだんだんと惹かれて、
神谷自身も徳永に心を開き、笑いの哲学を伝えていくようになります。
夢を実現することの難しさ
最初からいきなりネタバレになってしまいますが、徳永と神谷は話の最後でも結局、お笑い芸人として成功することはできませんでした。
徳永の師匠、神谷には恋人関係同然の真樹という女性がいます。
神谷が芸人として成功するのを長年、風俗で働くことによって支えていました。
しかし、神谷が芸人と成功することなく燻っている間に、真樹には別の男性が・・・
誤解のないようにしていただきたいのですが、真樹は決して薄情な女性というわけではありません。
むしろ、長年、ろくに稼げない神谷をただで部屋に住まわせたりとヒモ同然の存在を支えてきた女性なのです。
ただ現実問題として、無一文の夢を追い続ける男性より、
きちんとした収入のある男性のほうが、魅力的に映るのは仕方のないことなのかもしれません。
「俺が何とかしたかったけど、間に合わなかったな」
という神谷のセリフには、悔しさ、悲しみ、諦め、といった複雑な感情を感じました。
いっぽう、徳永にも夢の終わりが訪れます。
ある日、相方の山下から呼び出された徳永。
同棲している女性と籍を入れた。そして奥さんのおなかの中には双子の赤ちゃんがいる、と。
奥さんと子供を支えていくには芸人を続けるのは難しい、ということです。
そして、徳永の相方は山下しかいない。他の人と組むつもりはない以上、徳永の夢も終わりを告げました。
『火花』又吉直樹|まとめ
真樹が去っても芸人を続ける神谷。コンビ解散を機に芸人をあきらめた徳永。
どんな苦しい人生の転機があったとしても、彼らにはまだ長い人生が続きます。
「生きている限り、バッドエンドはない」
本書の最後のほうに記された言葉です。
きっと二人は、最後まで自分の生き方を曲げないんだろうな、となんだか私も勇気をもらうことができました。
最終的には、ほろ苦い終わりではあるものの、徳永と神谷のやりとりには思わずクスりとさせられるものも多く、
普段、小説を読まないという方もおすすめです。
是非、一度読んでみてください。
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